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歯周病と脳血管疾患
2018年8月4日【カテゴリ:お口の健康にまつわる話 】
皆さんこんにちは!神奈川県海老名駅東口徒歩3分にあります、予防歯科 K’sデンタルクリニック 院長の鎌田です。
今回は歯周病と脳血管疾患についてお話していきましょう。
脳血管疾患
脳は心臓の拍動や呼吸、体温調節などといった生命活動をはじめ、行動や言動、思考や感情、感覚などを司る重要な役割を担っていて、脳細胞が情報網を張り巡らせて高度で複雑な機能を果たしています。
この脳細胞に酸素と栄養を運んでいるのが、脳内を走る血管です。
脳血管疾患とは、脳の血管のトラブルによって、脳細胞が破壊される病気の総称です。
おもな脳血管疾患には「出血性脳血管疾患」と「虚血性脳血管疾患」の2つのタイプがあり、これらは「脳卒中」とも呼ばれています。
出血性脳血管疾患
脳の血管が破れて出血することから起こるもので、出血した血液は「血腫」という血の塊をつくり、血腫のできた部分の脳細胞が破壊されます。
血腫が周囲を圧迫すると、障害はさらに広がります。
出血性脳血管疾患は、出血した部位によって2つに分けられます。
1つは脳の奥深くの細い血管に加齢や高血圧によって小さなこぶができて、これが破裂して出血が起こる「脳出血」です。
もう1つは、頭蓋骨の下で脳の表面を保護している「くも膜」という膜の下で出血が起こる「くも膜下出血」です。
虚血性脳血管疾患
脳の血管が詰まることによって脳への血流が悪くなり、脳細胞が酸素不足・栄養不足に陥るもので、代表的なものは「脳梗塞」と「一過性脳虚血発作」です。
脳梗塞は、血管を詰まらせる原因によって大きく2つに分類されます。
脳の血管に血栓という血の塊ができて、血栓が血管を詰まらせるものを「脳血栓」、心臓など脳以外の血管にできた血栓が、血流にのって脳へと運ばれて、その血栓が脳の血管を詰まらせるものを「脳塞栓」といいます。
一過性脳虚血発作では、血管の詰まりは一時的なもので、血流はすぐにもとに戻りますが、脳梗塞は完全に血管が詰まり、血流も完全に途絶えてしまうので、血液がいかなくなった脳細胞は壊死します。
脳血管疾患の危険因子
脳血管疾患には、誘因となる危険因子がいくつもわかっています。
なかでも高血圧、動脈硬化、喫煙は最大の危険因子です。
そのほかにも、運動不足や多量の飲酒、ストレス、睡眠不足などの生活習慣が脳血管疾患の引き金となります。
また、「メタボリックシンドローム」といって、内臓脂肪の蓄積(内臓脂肪型肥満)に加えて、高血圧、高血糖、脂質異常のうちいずれか2つ以上をあわせもった状態では、それぞれが軽症であっても、複数あわせもつことで動脈硬化を悪化させ、脳血管疾患の発症リスクを高めることもわかっています。
歯周病と脳血管疾患
脳梗塞の患者は歯周病菌に感染している割合が高いことが明らかになっています。
これは、血流に乗って歯周病菌が全身をめぐることで、脳梗塞の原因となる動脈硬化を引き起こしている可能性があるからだと考えられています。
歯周病の人はそうでない人の2.8倍脳梗塞になり易いと言われています。
脳血管疾患の危険因子の動脈硬化は歯原性菌血症でも引き起こされます。これも関連していると言えるでしょう。
歯周病と肺炎
2018年8月3日【カテゴリ:お口の健康にまつわる話 】
皆さんこんにちは!神奈川県海老名駅東口徒歩3分にあります、予防歯科 K’sデンタルクリニック 院長の鎌田です。
今回は歯周病と肺炎についてお話していきましょう。
ここ数年で、主な死因第4位から第3位に上昇したのが肺炎です。
肺炎
肺炎は、肺にある小さな空気の袋(肺胞)やその周辺組織に発生する感染症です。
肺炎は1つの病気というより、むしろ多くの異なる病気の総称で、それぞれの病気は異なる微生物(細菌、ウイルス、真菌、寄生虫など)によって引き起こされます。
細菌やウイルスによる肺炎は、真菌または寄生虫による肺炎よりもはるかに一般的です。
具体的にどのような病原体が肺炎を引き起こすかは、患者の年齢、健康状態、住んでいる場所、その他の要因によって異なります。
気道と肺は常に微生物にさらされています。
鼻やのどの中には、ほぼ常に存在する微生物がおり、人はこれらの微生物を普段から吸い込んでいます。
吸い込まれた微生物は、以下に挙げるような肺の防御機構によって、すぐに処理されます。
・せき反射により、粘液とともに異物を排除する
・肺へと続く気道の内側に並ぶ細胞は、微生物の肺への侵入を阻止しており、異物が侵入すると粘液とともに上方へ押し出し、せきとともに吐き出させる
・肺の細胞が産生するタンパク質は、微生物を攻撃する
・肺の中にある白血球は、正常の免疫系に属する細胞で、微生物を攻撃する
肺炎は以下のような場合に発生します。
・防御機構が正常に機能しないとき
・大量の細菌が吸い込まれ、正常の防御機構で対処できないとき
・特に感染性の強い微生物が侵入したとき
肺炎は、一般に微生物を肺へ吸い込むことで発生しますが、微生物が血流によって肺へ運ばれたり、付近の器官に感染した微生物が、直接肺へ移動したりして発生することもあります。
肺炎発症のリスク
手術(特に腹部)または外傷(特に胸部外傷)の後に肺炎を発症することがありますが、これは痛みのために深い呼吸やせきがしにくくなるためです。
深い呼吸やせきができなければ、微生物が肺の中にたまりやすくなり、感染症を発症しやすくなります。
ほかにも衰弱した人、寝たきりの人、麻痺のある人、意識のない人などは、深い呼吸やせきができません。
このような方も、肺炎にかかるリスクが高まります。
肺炎にかかりやすくなる他の要因としては、アルコール依存症、タバコの喫煙、糖尿病、心不全、慢性閉塞性肺疾患などがあり、これらの病気になると肺の防御機構または免疫系が弱まります。
誤嚥性肺炎
誤嚥性肺炎とは、食べ物や異物を誤って気管や肺に飲み込んでしまうことで発症する肺炎です。
肺や気管は、咳をすることで異物が入らないように守ることができます。
しかし、高齢になるとこれらの機能が衰えるため、食べ物などと一緒にお口の中の細菌を飲み込み、その際むせたりすると細菌が気管から肺の中へ入ることがあります。
その結果、免疫力の衰えた高齢者では誤嚥性肺炎を発症してしまいます。
特に、脳血管障害の見られる高齢者に多くみられます。
誤嚥性肺炎の原因となる細菌の多くは、歯周病菌であると言われており、誤嚥性肺炎の予防には歯周病のコントロールが重要になります。
歯周病と心疾患
2018年8月1日【カテゴリ:お口の健康にまつわる話 】
皆さんこんにちは!神奈川県海老名駅東口徒歩3分にあります、予防歯科 K’sデンタルクリニック 院長の鎌田です。
今回は歯周病と心疾患についてお話していきましょう。
歯周病と心疾患
歯周病の原因菌は、腫れた歯茎の破れた血管から血液中に入り込みます。
そうすると、その細菌は血管の内膜にお粥のような柔らかい沈着物となってたまっていき、内膜はどんどん厚くなります。
このようにしてできた血管のコブをプラーク(粥腫)と言い、プラークができた状態を粥状(アテローム)動脈硬化と言います。
血管の内膜にプラークができると、血流が悪くなり、血管が少し収縮しただけで血流がとだえて、その血管により酸素や栄養が送られている心臓や脳に症状が起こります。
プラークが剥がれて血の塊が出来ると、その場で血管が詰まったり血管の細いところで詰まります。
そうすると、心筋梗塞が起こります。
アメリカで報告されたデータから、“60歳未満で歯周病による骨の吸収が重症な人は、そうでない人と比べて2.48倍、心血管死(心筋梗塞での死亡)が発症しやすい。”と報告されています。
また、歯周病原因菌は、感染性心内膜炎を引き起こす細菌の一つと考えられています。
感染性心内膜炎はそれほど多い病気ではありませんが、合併症を起こし命にかかわることもあります。
心臓弁膜症や先天性の心臓病がある人などではとくに注意が必要で、口の中を清潔に保つことが大切です。
歯周病とがん
2018年7月31日【カテゴリ:お口の健康にまつわる話 】
皆さんこんにちは!神奈川県海老名駅東口徒歩3分にあります、予防歯科 K’sデンタルクリニック 院長の鎌田です。
今回は歯周病とがんについてお話していきましょう。
先にお話しておきますが、いまだ、歯周病とがんを結び付ける正確なメカニズムはいまだ不明です。
しかし、歯周病ががんの発症リスクを上昇させているという研究データが多数存在しています。
歯周病だと、各種がん発症リスクが大幅アップ!
「歯周疾患がある場合になんらかの癌を発症するリスクは、ない場合に比べて14%高い」
2008年にイギリスのImperial College Londonの研究者、Dominique S. Michaud博士らが発表した研究結果です。
40歳から75歳の男性約5万人を17年以上にわたって追跡調査し、がんの発症と歯周疾患に関連があるかを調べた研究の結果でした。
「歯周病によってリスクが上がるがんは口腔がんや喉頭がんなど口に関係する部位のがんだろう」と思うかもしれませんが、そうとは限りません。
この研究によれば、特に発症リスクが高かったのは54%増の膵がん、49%増の腎がん、36%増の肺がん、30%増の血液がんでした。
「たかが歯茎の腫れ」が、あなたをがんにするかもしれません。
歯周病のせいでがん治療が遅れるかも?
放射線治療や、化学療法と呼ばれる抗がん剤を用いた治療には多くの副作用があります。
疲れやすさや下痢など体力が落ちるので、食事で栄養を取るのが大事なのに、吐き気やおう吐、食欲不振で、食べ物がのどを通りにくくなります。
治療のつらさで、人格が変わったようになることも少なくありません。
また、がん治療によって、感染症にかかりやすくもなります。
特に口が渇くため、口の感染症が増え、口内炎ができたり、歯周病が悪化したりします。
一般的な抗がん剤治療を受ける患者の約4割、造血幹細胞移植治療のような強い抗がん剤治療を受ける患者の約8割に、口に関係する何らかの副作用が現れると報告されています。
そのため、医師はがん治療を開始する前に、歯科で虫歯や歯周病の治療をしておくようにと言う事が多くなっています。
がん治療のガイドラインなどにもこのことは記載されており、がん治療開始前の歯科治療は現在のがん治療の常識となってきています。
重症の歯周病があり、治療に時間がかかるようであれば、がんの治療開始が遅れる場合もあります。
さらには、がん治療を始めたものの、歯周病の悪化など、口内の問題により、治療を中止せざるを得なくなることもあるそうです。
「がんのリスクを減らしたい」「がんになっても死にたくない」「治療を受けてまた元気になりたい」と思うなら、口の中を健康な状態にしておくことをおススメします!
(歯周病が原因による)歯原性菌血症と全身疾患
2018年7月30日【カテゴリ:お口の健康にまつわる話 】
皆さんこんにちは!神奈川県海老名駅東口徒歩3分にあります、予防歯科 K’sデンタルクリニック 院長の鎌田です。
国民病ともいわれる歯周病は歯ぐきの炎症からはじまり、悪化すると顎の骨を溶かし、やがては歯を失ってしまう病気です。
そんな歯周病の影響は、お口の中だけに留まりません。
今回は歯周病と全身疾患の絡みをお話していきましょう。
歯周病が大きな病気の原因になることが!
糖尿病、肺炎のほか、血栓による疾患である心筋梗塞などは、歯周病との相関性や歯周病菌によって引き起こされる可能性があるという研究報告があります。
つまり歯周病の治療は、お口の中だけでなく、全身の健康維持のためにも重要な治療なのです。
主な死因第一位から第四位までが歯周病に関係しています。
次回から、それぞれの疾患がどのような関連があるのかお話していきましょう。
感染性心内膜炎と菌血症
2018年7月28日【カテゴリ:お口の健康にまつわる話 】
皆さんこんにちは!神奈川県海老名駅東口徒歩3分にあります、予防歯科 K’sデンタルクリニック 院長の鎌田です。
今回は感染性心内膜炎と菌血症と題してお話していきます。
感染性心内膜炎
染性心内膜炎は、心臓の内側を覆っている組織(心内膜)に生じる感染症で、通常は心臓弁にも感染が及びます。
男性に多く発生し、すべての年齢層で女性の2倍、高齢者では女性の8倍にもなります。
高齢者でも多くみられ、すべての患者の4分の1以上が60歳以上です。
感染性心内膜炎は、具体的には心内膜の感染症を指しますが、通常は心臓弁のほか、心房・心室や血管のつながり方が異常な部分(心臓の先天異常)にも感染が及ぶことがあります。
感染性心内膜炎には2つの種類があります。
急性感染性心内膜炎
突然発症して数日で生命を脅かすようになります。
亜急性感染性心内膜炎
数週間から数カ月かけて少しずつ進行しますが、やはり生命を脅かす可能性があります。
原因
ときに血流に侵入した細菌(まれに真菌)が心臓弁に付着し、心内膜に感染することがあります。
異常がある弁、損傷している弁、人工弁は、正常な弁と比較して感染が起きやすくなっています。
亜急性細菌性心内膜炎を引き起こす細菌は、ほぼ常に異常な弁、損傷した弁、または人工弁に感染します。
しかし、病原性の強い一部の細菌は正常な弁にも感染する可能性があり、特に細菌の数が多くなると、その可能性が高まります。
症状
急性細菌性心内膜炎では、最初に突然の高熱(38.9~40℃)、頻脈(心拍数の上昇)、疲労が現れ、広範囲にわたる心臓弁の損傷が急速に生じるのが通常です。
亜急性細菌性心内膜炎では、疲労、軽度の発熱(37.2~38.3℃)、中等度の頻脈、体重減少、発汗、赤血球数の減少(貧血)などの症状がみられます。
これらの症状は微妙で分かりにくい場合があり、何カ月間も経過し、動脈の閉塞や心臓弁の損傷が起きて初めて心内膜炎と診断されることもあります。
心臓弁の表面に形成された細菌や血液のいぼ状のかたまり(疣腫[ゆうしゅ])が崩れて小さな欠片になり、血流に乗って別の部位に移動し、そこの動脈に詰まって閉塞を引き起こす(この現象を塞栓といいます)ことがあります。
ときに閉塞が深刻な結果につながることもあります。
脳に向かう動脈が閉塞すれば脳卒中が起こり、心臓に向かう動脈が閉塞すれば心臓発作が起こります。
また塞栓が起きると、詰まった部位で感染が起きたり、細い血管が閉塞して臓器の損傷につながったりします。
影響を受けやすい臓器として、肺、腎臓、脾臓、脳が挙げられます。
皮膚や眼の後部(網膜)の血管で塞栓が起きることもよくあります。
感染した心臓弁の底部や感染性の塞栓が起きた部位には、膿がたまることがあります(膿瘍)。
心臓弁に(数日のうちに)穴が開き、そこで血液の漏れ(逆流)が生じる場合があります。
一部の人はショック状態(重度の血圧低下)に陥り、腎臓やその他の臓器の機能不全が起こります(敗血症性ショックと呼ばれる状態)。
動脈の感染症により動脈壁がもろくなり、隆起や破裂が生じます。
動脈が破裂すると死に至る可能性があり、特に脳内や心臓の近くで起きた場合、その可能性が高くなります。
ほかにも以下のものがあります。
・悪寒
・関節痛
・蒼白(顔が青白くなる)
・痛みを伴う皮下結節
・混乱
そばかすに似た小さな赤い斑点(点状出血)が皮膚と白眼に出現することがあります。
赤色の細い線(線状出血)が爪の下に出現することがあります。
これらの点状または線状出血は、心臓弁で生じた血栓などが剥がれて移動してきたもの(塞栓)によって生じます。
大きな塞栓では、腹痛、血尿、腕や脚の痛みやしびれのほか、心臓発作や脳卒中が生じることがあります。
心雑音が生じたり、以前からみられた心雑音が変化したりすることもあります。
脾臓が大きく腫れることもあります。
以上が感染性心内膜炎の原因と症状ですが、原因で述べている通り、血液に細菌が入り込むことによって発症する疾患です。
つまり、菌血症が原因となる訳です。
化膿性関節炎と菌血症
2018年7月27日【カテゴリ:お口の健康にまつわる話 】
皆さんこんにちは!神奈川県海老名駅東口徒歩3分にあります、予防歯科 K’sデンタルクリニック 院長の鎌田です。
今回は化膿性関節炎と菌血症と題してお話していきましょう。
化膿性関節炎
化膿性関節炎とは、関節内に何らかの原因で細菌が入り、関節内が化膿してしまう病気です。
この状態が続くと、関節の表面の軟骨が壊され、さらに骨まで破壊されるため、治療が遅れると関節の障害が残ります。
そのために緊急性を要する病気のひとつといえます。
関節炎(関節リウマチ)や、持続する菌血症がみられる心内膜炎などに合併しやすく、また近年では、関節鏡検査や人工関節置換手術に伴う感染性関節炎によるものが増加傾向にあります
人工関節感染症
人工関節に置換された関節に細菌が進入する合併症で、その発生率は1〜 3%とされています。
主に手術中に細菌が侵入したために発生する早期感染症と、術後、歯槽膿漏・難治性の痔・皮膚の傷などから二次的に細菌感染を起こす遅発感染症があります。
糖尿病、関節リウマチで薬物治療中の方、ステロイド治療中の方は感染率が高くなります。
感染症が早期であれば、人工関節を温存する治療が可能ですが、多くの場合で再手術が必要となります。
人工関節のサーフェスのみを抜去し関節内を洗浄する方法や、人工関節をすべて抜去し、抗生剤入りのセメントで仮の人工関節を作製し一時的に置換。その後、感染が沈静化したら再置換を行う手術方法があるそうです。
予防策
手術前
術前には歯科受診を行い、口腔内の衛生状態をチェックし、徹底的なクリーニングを行うことが最大の予防策です。
また、鼻腔内の細菌検査も行い抗生剤の効きにくい細菌が検出された場合には、術前に治療を行うこともあるそうです。
手術はクリーンルームといわれる空気中の細菌が極力少なくなった手術室で滅菌された器具を落ちいて行われるので、そこは心配ないと思います。
手術後には予防的な抗生剤の投与を数日間おこない、手術の創は特殊なフィルムで覆う湿潤療法で創の管理を行っていくことで予防できるそうです。
手術後・日常
静脈内のカテーテル、人工関節、人工心臓弁など、体内に設置された人工物は特に細菌が蓄積しやすいです。
日常的な慢性感染症の存在は菌血症を発症させ、人工物にさいきんが沈着する機会が増えてしまいます。
日常的な慢性感染症で世界で1番多い疾患は歯周病です。
日頃から、歯周病発症を防ぐために定期的に歯科を受診し、健康度の確認と徹底的なクリーニング、セルフケアの達成度のチェックを行うことが最大の予防策だと思います。
歯原性菌血症
2018年7月25日【カテゴリ:お口の健康にまつわる話 】
皆さんこんにちは!神奈川県海老名駅東口徒歩3分にあります、予防歯科 K’sデンタルクリニック 院長の鎌田です。
今回は歯原性菌血症についてお話していきましょう。
歯原性菌血症
歯原性菌血症とは、お口の中の細菌(虫歯菌や歯周病菌など)が、口の中の傷口から血管内に侵入する現象です。
このお口の中の細菌は、血管の内膜にお粥のような柔らかい沈着物となってたまっていき、内膜はどんどん厚くなります。
このようにしてできた血管のコブをプラーク(粥腫)と言い、プラークができた状態を粥状(アテローム)動脈硬化と言います。
血管の内膜にプラークができると、血流が悪くなり、血管が少し収縮しただけで血流がとだえて、その血管により酸素や栄養が送られている心臓や脳に症状が起こります。
よって、この歯原性菌血症により、動脈硬化・心臓血管疾患・糖尿病・肥満・骨粗しょう症・脳血管疾患・高脂血症などの原因となることがわかってきています。
虫歯や歯周病を治療せずに放置しておくと、そこから菌が入り込み全身へ巡ります。
また、毎日の歯ブラシでも小さな傷ができてしまうことが多く、そこから菌の侵入が生じる可能性が高いため、虫歯や歯周病が現状では無い方も定期的な歯科医院への通院が必要になります。
ここで注意が必要なのですが、ブラッシングによって引き起こされる菌血症は、歯肉に炎症(腫れ)が生じている時に起こるのであり、健康な歯肉では菌血症のリスクはほとんどありません。
ブラッシングをリスクと考えて、口腔清掃を行わないと、プラーク付着増加と歯周病の進行により、菌血症の確率が上昇してしまうので、誤解しないようにして下さい。
「ブラッシングしたら血が出て怖くなったので、ブラッシングせずにマウスウォッシュだけで済ませている」と言われる方がたまに居られますが、これも間違いです。
血が出るのは、細菌がそこに存在しているからであり、清掃を行わない限り細菌は取り除かれません。
残念ながらマウスウォッシュだけで清掃しきれるものではありません。
それを、そのままにしておくと…歯周病の進行によって、骨は溶け、歯は抜け、上記のような全身疾患を引き起こしてしまうかもしれません。
ブラッシングで血が出る人は一度歯科で口腔内を診査してもらった方が良いと言えます。
菌血症
2018年7月24日【カテゴリ:お口の健康にまつわる話 】
皆さんこんにちは!神奈川県海老名駅東口徒歩3分にあります、予防歯科 K’sデンタルクリニック 院長の鎌田です。
皆さん、菌血症ってご存知ですか?
近年、耳にするようになってきた病名ですが、様々な疾患の原因となりえる病気で、歯科と大いに関りがあります。
今回は菌血症についてお話していきましょう。
菌血症とは
臓器あるいは組織のどこかに細菌感染巣があって,絶えずあるいは断続的に,その病巣から細菌が本来無菌であるはずの血液中に流出している状態をいいます。
敗血症と混同されることが多いですが、敗血症は「感染を原因として全身性に炎症が起きている状態」と定義されます。一方菌血症は「細菌が血液中に存在すること」を指します。
菌血症では通常、症状はみられませんが、ときに特定の組織や臓器に細菌が増殖して、重篤な感染症(細菌性髄膜炎や感染性心内膜炎など)を引き起こすことがあります。
通常、特に日常的な行為が原因の場合には、細菌が少量しか存在せず、免疫系の働きによって血液中から速やかに排除されるため、菌血症が感染症を引き起こすことはありません。
しかし、特に免疫系の機能が低下している状況では、細菌が長期にわたって存在し、数も多くなることがあります。
このような場合には、菌血症が引き金となって、ほかの感染症や敗血症と呼ばれる全身性の重篤な反応が起こる可能性があります。
菌血症になると、細菌が体内の特定の構造物(異常が起きた心臓弁など)に引っかかり、そこに蓄積することがあります。
特に細菌が蓄積しやすいのは、静脈内のカテーテル、人工関節、人工心臓弁など、体内に設置された人工物です。
このような細菌の集まり(コロニー)はその部位に付着し続け、連続的または周期的に血流へ細菌を放出します。
菌血症で症状が出やすい部位
・脳を覆う組織(髄膜炎)
・心臓を包む膜(心膜炎)
・心臓弁と心臓の壁を覆う細胞(心内膜炎)
・骨(骨髄炎)
・関節(感染性関節炎)
原因
・日常的な細菌感染が原因の場合
日常的な行為によって、健康な人で菌血症が起きる場合があります。
例えば、激しく歯磨きを行うと、歯ぐきに存在する細菌が血流に入ってしまい、これが菌血症の原因となることがあります。
食べものの消化の際に、腸から血流に細菌が入ることもあります。
日常的な行為が原因の場合、菌血症から感染症になることはまれですが、口腔内の細菌をしっかりとコントロールしていれば、多くの場合防げるのもです。
・特定の細菌感染症
細菌感染症の一部(肺炎や皮膚膿瘍など)では、細菌が周期的に血流に入り、菌血症を引き起こすことがあります。
一般的にみられる小児期の細菌感染症の多くは、菌血症を引き起こします。
・レクリエーショナルドラッグ(娯楽目的で使用される薬物)の注射
通常は針が細菌に汚染されていて、使用者が皮膚を適切に消毒せずに注射することが多いため、菌血症の原因になります。
・医療行為による場合
歯科処置の際に、歯ぐきで生息していた細菌が剥がれて、血流に入ることがあります。
カテーテルを膀胱に挿入した場合や、チューブを消化管や尿路に挿入した場合にも、菌血症が起こる可能性があります。
細菌はカテーテルやチューブが挿入された部位(膀胱や腸)にも存在している可能性があるため、無菌的な手法が用いられていても、これらの処置で細菌が血流に入ってしまうことがあります。
菌血症の症状
歯科処置などの普通の出来事が原因の菌血症は、通常は一時的なもので、症状は起こりません。
ほかの原因による菌血症では発熱することがあります。
菌血症の人に発熱や心拍数の上昇、悪寒戦慄(寒気とふるえ)、低血圧、消化管症状(腹痛、吐き気、嘔吐、下痢など)、呼吸数の増加、または錯乱がみられる場合は、おそらく敗血症か重症敗血症、または敗血症性ショックを起こしています。
菌血症の予防
・慢性感染症の改善
特に歯周病が菌血症の可能性を格段に上昇していることが、最近分かってきました。
ですので、何か外科処置を行う予定がある方は、手術より前にお口の中のクリーニングを行うことをおススメします。
また、歯周病を治療し、再発防止のために定期的にクリーニングを受けておけば、菌血症も防げますし、そこから発生する疾患も防げますので、一石三鳥です。
骨粗鬆症と歯科 4
2018年7月23日【カテゴリ:お口の健康にまつわる話 】
皆さんこんにちは!神奈川県海老名駅東口徒歩3分にあります、予防歯科 K’sデンタルクリニック 院長の鎌田です。
骨粗鬆症と歯科の続きです。
何故カルシウムだけが不足するのか?
カルシウムはどんな食品にもたっぷり含まれているわけではありません。
また吸収率の悪い栄養素でもあります。
心がけてカルシウムの多い食品を選ばないと知らず知らずのうちに不足してしまいます。
その上年をとると小食になるため、カルシウムをとる量も減り、腸でのカルシウムの吸収も悪くなってきますので、若いときよりいっそう食事への配慮が必要となります。
もっとも最近の調査によりますと、若い人よりも50代、60代の人の方がカルシウムをきちんととっています。
骨粗鬆症についての知識を持っている方が増えてきたためでしょう。
若い人は、学校給食がある間はよいのですが、高校生、大学生となってお弁当や外食になったとたんにカルシウムが不足し始めます。
全年代をとおして、20歳前後のカルシウム摂取量が最も少ないため、骨粗鬆症予備軍が大量に発生しています。
このほかカルシウムが不足する原因には、日本の水は軟水でカルシウムの含有率が低いため、植物のカルシウム分も硬水のヨーロッパなどに比べて少ないこと、伝統的な和食には乳製品が少ないことなどがあげられます。
カルシウムのとりすぎによる害はないか?
まずありません。もともと日本人のカルシウム摂取量はアメリカ人の3分の1にしかならないので、とりすぎによる心配は必要ないほどです。
カルシウムは多くとれば骨に蓄えられて骨を強くするだけです。
そのうえ腸の方もじゅうぶんに用心しています。
カルシウムのとり方が足りないと、腸は効率よく無駄なくカルシウムを吸収しようとします。
もし少し余分だと思ったら吸収の能率を落とします。
厚生省では、カルシウム摂取量の上限値を2300ミリグラムに決めています。
牛乳約2リットル分です。
これはカルシウムを制限するためのものではなく、これだけとっても安全という意味に解釈すべきでしょう。
カルシウム剤を服用していて、もし便秘ぎみになったらそのときは服用量を減らして調整しましょう。
どのような栄養分でも無限にとってよいものではありません。
その点カルシウムも例外ではなく、とりすぎがないという訳ではありません。
しかしながら問題は、私どもの普通の食事でカルシウムはどの位とれているか、どの位が健康に良いか、どの位までは安全で、どの位から上は気をつけなければならないかということです。
まず第一に申し上げたいのは、日本人は世界で最もカルシウムのとり方が少なく、カルシウムについては、ほとんど飢餓の状態にあるということです。
他の栄養分、ことに脂肪や糖質、蛋白などについてはとりすぎが多いとされ、肥満や糖尿病・動脈硬化などが増えているのはご存知の通りですが、カルシウムは全く逆で、とり方が世界の他の国々に比べてはるかに少なく、このためにいろいろな生活習慣病が増えているのです。
カルシウムのとり方が少なくても、血液の中のカルシウムは必ず一定に保たなければなりません。
もしも血液中のカルシウムが下がると心臓の動きが悪くなり、脳のはたらきにも支障がでて、生命の危険が起こります。
このためにカルシウムのとり方が少なくて血液のカルシウムが少しでも下がりかけると、副甲状腺ホルモンの分泌が増えて骨からカルシウムを取り出し、血液中のカルシウムを元に戻します。
このようにして私どもは何とか生きているのですが、骨のカルシウムはだんだん減って骨粗鬆症になります。
骨粗鬆症は人間がかかる病気の中で最も多く、日本では1千万人以上がその危険にさらされています。
骨粗鬆症を予防し治療するためには、少なくとも1日1000~1500mg、つまり成人の栄養所要量の2倍以上が必要であることが、世界の専門家の一致した意見です。
このことを念頭に置いて、厚生労働省は上限量として1日2,300mgを定めました。
1日1,500mgはもちろん安全ですし、年をとって腸からの吸収が減ればもっととっても大丈夫です。
いつも骨からカルシウムを引き出していると、副甲状腺ホルモンの値が年をとるとともに上がってきますが、1日2,300mgのカルシウムをとると若い人と同じ水準まで下がります。
カルシウムを充分にとることは若さを保つ秘訣です。
カルシウムが足りないと骨粗鬆症の他に高血圧・動脈硬化・糖尿病・アルツハイマー病・変形関節症など色々な生活習慣病にもかかりやすくなります。
これは副甲状腺ホルモンが骨からカルシウムを引き出して、血管・脳・軟骨や細胞の中など、普通はカルシウムが余りない所に押し込んでしまうためです。
カルシウムを充分にとればこれらの病気も防げます。
カルシウムのとりすぎをおそれず、1日2,300mgの枠の中で、できるだけ沢山カルシウムをとって健康になり、骨粗鬆症をはじめ色々な生活習慣病を予防しましょう。