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骨粗鬆症と歯科 2
2018年7月20日【カテゴリ:お口の健康にまつわる話 】
皆さんこんにちは!神奈川県海老名駅東口徒歩3分にあります、予防歯科 K’sデンタルクリニック 院長の鎌田です。
骨粗鬆症と歯科の続きです。
骨粗鬆症と健康寿命
日本は世界でもトップクラスの長寿国です。
現在では単に長寿を目指すだけでなく、健康で自立した生活を送れる期間をあらわす「健康寿命」を伸ばすことへの関心が高まっています。
日本人の平均寿命と健康寿命の差を比べてみますと、男性では約9年、女性は約12.5年もの差があります。
健康でイキイキとした人生を送りたいと誰しも願うものですが、実際には多くの人が長い間「健康ではない」状態で過ごしているのです。
骨は私たちの体や日常の活動を支える大切な器官です。
骨粗しょう症を予防し、骨を健康に保つことは、健康寿命を延ばすことにもつながるのです。
骨粗鬆症と歯周病
骨粗しょう症は特に女性に多い病気で、患者さんの80%以上が女性といわれています。
骨粗鬆症の中でも閉経後骨粗鬆症は、閉経による卵巣機能の低下により、骨代謝にかかわるホルモンのエストロゲン分泌の低下により発症します。
女性ホルモンの一種であるエストロゲンは、骨の新陳代謝に際して骨吸収をゆるやかにして骨からカルシウムが溶けだすのを抑制する働きがあります。
そのため、閉経期を迎えて女性ホルモンの分泌が低下しますと、急激に骨密度が減り、同年代の男性に比べて早く骨密度が低くなります。
閉経後骨粗鬆症の患者さんにおいて、歯周病が進行しやすい原因として最も重要と考えられているのが、エストロゲンと呼ばれる卵胞ホルモンの欠乏です。
エストロゲンの分泌が少なくなると、全身の骨がもろくなるとともに、歯を支える歯槽骨ももろくなります。
また、歯周ポケット内では、炎症を引き起こす物質が作られ、歯周炎の進行が加速されると考えられています。
多くの研究で、骨粗鬆症と歯の喪失とは関連性があると報告されています。
したがって、閉経後の女性は、たとえ歯周炎がなくても、エストロゲンの減少により、歯周病にかかりやすく、進行しやすい状態にあると言えます。
また、骨粗鬆症の薬としてよく用いられるビスフォスフォネート製剤(BP系薬剤)というのがあり、これを服用している方が抜歯などをした場合、周囲の骨が壊死するなどのトラブルが報告されています。
歯周病でぐらぐらしているから自分で抜く、などということは絶対に行わず、歯科を受診してください。
注意が必要な薬剤
分類 | 薬剤名 | 商品名 |
ビスホストネート薬
|
エチドロン酸 | ダイドロネル |
アレンドロン酸 | ボナロン、フォサマック | |
イバンドロン酸 | ボンビバ | |
リセドロン酸 | アクトネル、ベネット | |
ミノドロン酸 | ボノテオ、リカルボン | |
ゾレドロン酸 | リクラスト | |
抗RANKL抗体薬 | デノスマブ | プラリア、ランマーク |
上記薬剤を投薬されている際には、注意が必要です。
抜歯以外の処置では問題が起こりません。
抜歯にならないように、普段から定期的に歯科医院でチェック&クリーニングを受けることをおススメします。